ヨーロッパ全体で、暑い日が続いています。
昨日はなんと38度まで上がり、ベルリンの中心部近辺は42.5度を記録したらしいです。
こんな日は、アルトバウと呼ばれる100年以上昔からある建物を改修したアパートに住む私たちにとっては朝から窓を閉め、加えてカーテンも閉め切ったままにすることが最良の暑さ対策になります。
これは、日本で育ったわたしには最初はなかなか理解しにくかったのですが、窓を一旦開けてしまうとその日一日苦しむことになるのでとても大切なポイント。
日本だと、外の気温が高くなってもエアコンがなければ、暑いと言って窓を開けてしまいませんか?
これは日本の家屋の場合には有効ですが、ドイツのアルトバウでは絶対やってはいけないことナンバーワン!
アルトバウでは、窓から風を通して熱を逃すのではなく、そもそも窓を開けずに石造りの建物が一日中冷たいままをキープするやり方でこそ室内を涼しく保てるんです。この方法だと、大体外がどんなに暑くても室内は25、26度ぐらいをキープできるので、エアコンがなくても問題ありません。
外出して「暑い〜!」っと帰ってきても、一旦一階正面のドアを開けて建物に入ったら、まるでエアコンが入っているみたいにひんやりしています。
これは、以前伺ったドイツチューリンゲン州の田舎の古い家でもそうでした。家に入った途端、ひんやりするんです。
エアコンなしなのにっ!これって素晴らしいですよね!!
これが、70年代後半以降に建てられたアパートだと、建物の造りが違うので室内の気温がどうしても高くなっちゃうらしいです。こんなところも、アルトバウが人気を保ちつづける理由なのかもしれません。
そして、ひんやりといえば、ドイツの地下室!
ドイツの地下室の自然の力を借りたその機能性は素晴らしすぎます。
地下室は真夏の暑い日でも肌寒いほど冷えていますが、夏に涼しいだけではなくて、冬も同じく10度ぐらいでキープできるので、キムチやザワークラウトの発酵やリンゴ、じゃがいもの保管に最適です。
嗚呼、素敵すぎる。
いつか地下室があって、様々な果物の木や野菜や薬草を植えられる庭のある小さなお家に住むのがわたしの夢です。
さてさて、今回はご近所で「夏りんごとルッコラが大量に採れたので無料であげます」とネット掲示板に出していた方がいたので、図々しくもそのお言葉通りにご厚意を受け取ることにし、リンゴ&ルッコラをもらいに行ってきました。
そして頂いてきたのがこちら。
リンゴはKlarapfel(クラーアプフェル)という夏の青リンゴ。緑色の小さな綺麗なリンゴをボールで3つ分いただきました。
見かけはまるでわたしの大好きな大中(だいなか)りんごのようですが、少し小さめで、大中のように皮は粉っぽくはありません。
そして、その味は・・・。
酸味が強くてサクサクで、アメリカに住んだことがある方はご存知かもしれない「グラニースミス」という青リンゴよりはうす味でさっぱり。
でも、大中にある渋みや若干噛み切りにくい感じ(ドイツ語ではこのような状態をHolzigと言います。木みたいなという意味です!わたしの地元の方言では「しない」と言います 笑)はありません。日本の青リンゴの甘さや旨味とも全く違う種類の味です。
もらったもので少し黄色がかったものはすでにボサボサになりつつあり、傷みやすいのが理由で市場に出回らないのが頷けます。でも、しっかり果物の味がして美味しいです。
今回、そもそもこうして普通に食べられるリンゴが普通の庭になっているということが私にとっては感動でした!以前、実は日本でりんごを庭で育ててみたかったのですが、一般人にはかなり大変で無理だと聞いていたので、庭でこうしてリンゴは育てられないとばかり思っていたからです。
しかし、今となって考えると「大変で無理」という意味は、「あの傷ひとつない甘ーい日本のリンゴを作るのはかなり大変」という意味だったんだろうな、と思います。日本人が目指すリンゴのハードル自体が高いんですね。ここに、日本人の真面目というか、完璧を求める(社会から求められる、の方が正しいでしょうか)気質が出ている気がします。
ドイツでは、人々がそもそも日本人のいうところの「良いリンゴ」いわゆる「甘くて色がよくて傷がなくジューシーで大きなリンゴ」のみを求めているわけではないので、作物の完成品のゴールの着地点がそもそも違うんだと思います。
ドイツ人の家の庭で育った小さめのリンゴなども、日本だと観賞用なんかにされちゃいそうですが、実際にそのまま食べると自然の味がしてとても美味しいですし、少しボサボサになったものでもちゃんとジャムやコンポートなんかにして保存食にしたりして大切に消費されています。(そして、食べられないとき、今回みたいに無料であげるんですね。)
日本なら売ることもできないであろう酸っぱいリンゴも好きな人は多いですし、硬いリンゴや柔らかくてジューシー、渋みがあったり甘さが強いリンゴなどなど、それぞれの人の好みに合わせて様々なリンゴが売られています。
こんなところも、一人一人に合わせた様々なオプションが用意されている。リンゴの市場にまで、ドイツの個人主義なところがしっかり現れているように感じます。笑
この青リンゴ(クラーアプフェル)もおそらく古いりんごのひとつだと思うのですが、ドイツでは他にも昔からあるリンゴの種類の多くが今でも大切に育てられています。今、気になっているのは、Cox Orange(コックスオレンジ)というリンゴですが、今のところ市場でもまだ見つけられていません。古い種類のリンゴがどんな味がするのか、色々と食べてみたいです。
五月にライプツィヒに行った際にも、市内中心の大きな市場でたくさんのリンゴたちに出会うことができました。オーガニックのリンゴですが、スーパーで売っているオーガニックではないリンゴの大体1.5倍ぐらいの値段です。
日本やアメリカに比べたら、オーガニック商品の値段が比較的低く設定されていて購入しやすいのもドイツの特徴だと思います。
今回のクラーアプフェルは、決してそのまま食べられないわけではないのですが、傷みやすく酸味が強く、いくら酸っぱいリンゴが好きなわたしでも2つ以上食べると胃がやられそうなので、ジャムとコンポート、そしてアプフェルムスに加工することにしました。
アプフェルムス(Apfelmus)とは、煮たリンゴをすり潰して砂糖を加えたアップルソースです。これを、ドイツでは冷やしてそのまま食べたり、ファムクーヘンという薄いパンケーキ状のものに挟んで食べたり、クレープに入れたり、ヨーグルトにかけたりと用途は様々。ドイツ人にとってとても身近な食べ物だと思います。ドイツ人が消費する果物の第一位がリンゴだといいますから、加工されたリンゴの商品も多いのも理解できますよね。
頂いたルッコラは、まるで薪を集めてまとめたみたいな大きな花束みたいな感じの結構なくらい育ったものでした!
「このままペストソースにするといいよ!」とくれた人はおっしゃってたんですが、なかなかの立派な育ち具合で茎も硬そう。そのままペストにして繊維質だったら嫌だったので、ズボラな私にはしては珍しく葉を一つずつ摘んで、松の実ではなくアーモンドでペストソースに。
一口食べてみると、ルッコラはバジルと比べて主張しない分、くどくなくていい感じ。
実際に野菜にからめて食べてみましたが、飽きがこなくてたくさん食べられました。
冷凍しておくと、パスタなど、簡単に一品できちゃいますね。
こうして野菜や果物を「無料であげますよ!」と掲示板に上げてくれる方、実はベルリンで結構いらっしゃるんですよね。この間も、無料でGlaskirscheという種類のさくらんぼを5キロほどいただいてきました。
日本人だと、もし農作物が余ってしまったとしても商品としてしっかり売るならまだしも、見知らぬ人と時間を設定して、わざわざ無料であげるなどする面倒を考えたら時間が無駄だし捨てた方がまし、とさえ思う人もいるのでは・・・。
そこが時間が無駄とか考えずに他人とコミュニケーションをするドイツ人のマメなところと、相手に見返りを持たないところと、捨てるのはもったいないと思う精神がとてもいいなと思います。
でも、それって日本だと貧乏くさいって言われちゃうんですかね。笑
また、いくら「無料」といわれても、わたしは「いくら無料って言ってても、やはり何か気持ちだけでもお土産を用意していかなきゃなぁ」って思ってしまいます。それで、「何をどれぐらいあげたらいいだろうか」とか「もし予想以上に沢山頂いたらこれじゃ失礼かしら」とか、色々考えて一人で疲れています。笑
しかし、ドイツ人いわく、ドイツ人は本当に「言葉通り」に行動するので、その人がそう言っているなら、その言葉をそのまま信じて問題ないらしいです。それでも、やっぱり小さなチョコを気持ちとして持っていくと喜ばれる気がします。でも、本当に何も見返りはいらないと思っている人も多いみたいです。こうなると、最後はやっぱり人と人とのコミュニケーション、個人によるんですかね・・・。
アメリカ生活でも、日本と比べたらストレートな表現が多かったとは思いますが、ドイツのコミュニケーションに於いての言語に頼る(言葉化する)割合が私には高すぎるというか、伝えたいこと全てを言語で伝えるストレートさ(露骨さ)?にはいまだに慣れません。アメリカでも、ドイツほど言葉通りの社会ではなかった気がします。笑
「ここまで言葉にしないとわかんないのかなぁ」と、表情では気持ちが通じないドイツ人に、正直唖然とすることも多々あるのですが、逆に考えれば、言葉さえ最後までしっかり言えば通じるわけですから、気持ちを強く持って自分自身かなり気持ちをすり減らしながらでも、強気で語尾まで必要なことを言い切るようにしています!
きっとこんなドイツにいつかは慣れる日が来ることでしょう。←遠い目。
この調子でお庭のリンゴをもらったり、市場をぶらぶら探していたら、もしかしたら私の大好きな大中(だいなか)りんごもドイツで見つけられる気がしてきました。
大中の学名がAmerican Summer Pearmainだということを、弘前の青森りんごTS導入協議会りんご大学の方から教えていただけたので(心より感謝!)、これを元にドイツで大中の親リンゴが見つけられるかもしれません。
今後もドイツで大中探し、頑張りまーす!