今日は、ドイツの薬草ではないのですが、植物つながりで、オーストラリアに自生するギンピ・ギンピという世にも恐ろしい植物のお話をしたいと思います。
ギンピ・ギンピの学名はDendrocnide moroides(イラクサ科Urticaceae、イラノキ属Dendrocnide)で、その毒性はオーストラリアのイラノキ属の中で最も強いとされています。
なんとこの草、全体を刺毛が覆っておりその刺毛に触れた人や動物に神経毒を送り込むというのです。
ドイツでも、セイヨウイラクサ(英語だとNettle)が自生していて、これを間違って触れてしまうと、その瞬間痛いだけではなくて、その後も当分の間その部分がちくちくと痛くて麻痺した感覚になります。
私は間違ってセイヨウイラクサに誤って座りヒドイ目にあったことがあります。
熱すると棘が無力化されて食べられるんですけどね・・・。
ということで、セイヨウイラクサに座ってしまったらたまったもんじゃありませんが・・・。
しかし!!
ギンピ・ギンピの危険さはブレンネッセルのような生半可なレベルじゃないようなんです。
誤ってギンピ・ギンピに体全体が触れてしまった人の話を読んでみると、2〜3日間耐えられないほどの痛みに苦しみ、その後も痛みは続き、2年経った後も冷たいシャワーを浴びるとその痛みが蘇るほどだった、とか。
それは想像を絶する痛みで、それはまるで熱い酸で肌を焼かれながら電流を体に流されるような苦しみだったと言い表した人もいます。
最もびっくりしたのは、なんとギンピ・ギンピは刺したあと、その痛みで人を苦しめるだけではなくて、ギンピギンピに含まれる神経毒ペプチド(アミノ酸の結合)ギンピタイドが人間の感覚ニューロンを恒久的に変化させるということ!!
つまり、ギンピギンピの神経毒が体内に入ることで、痛みに関する信号が不安定になり、
刺されてから数ヶ月後、または数年後でさえ、不意に痛みを感じることがあるそうなんです!
これって、すごすぎませんか?
感覚ニューロンをまで変えられるって、もう植物のできることを超えているのではないかと感じるのは私だけ??
でも、それゆえ薬草の威力も、私たちが想像する(特に日本人がイメージする薬草の効果)よりはるかに効きますから、ギンピギンピも、薬草も、未だ知られざる威力、という面では似ていると言えるかもしれません。
オーストラリアには毒グモ九種類、カモノハシ他の最強シリーズの動物達が揃っていますが、ギンピギンピも何ゆえここまで自分を守らなければいけないのでしょうか・・・。愛らしいカモノハシにも毒があるらしいですしね・・・。
ニュージーランドにも、牛など大きな動物をも殺すギンピギンピもどきがいるらしいです。
かつてオーストラリアに住んでいたシンガポールの友人は、オーストラリアの毒グモは叩くのではなくて「焼き殺す」と言っていました。ああ、恐ろしや。
あの土地に住む生物を知れば知るほど、安易に足を踏み入れたらダメな気がしてきます。汗
<参考文献・サイト>
“Science Advances”(https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.abb8828)