ここのところ更に寒くなってきましたね〜。今日は2センチほど雪も降りました。
ドイツに来て、なんだか風邪っぽいんだよね、というとまず周りに勧められるのがザルバイというハーブのお茶。
ザルバイ(Salvia officinalis)はシソ科で、和名はヤクヨウサルビアというらしいのですが、日本語でも今はコモンセージと言った方が一般的でわかりやすいかも。
ヨーロッパの国々では、コモンセージの葉っぱ一枚そのままを生ハムと一緒にお肉に巻いて白ワインで焼いたり、お魚料理にも使うらしいのですが、私は未だドイツではセージ一枚まるまるを使ったお料理に出くわしたことはありません・・・。食べてみたいなあ。
今までに出会ったドイツの皆さまがあまりにもコモンセージ推しなので「風邪ならやっぱりコモンセージでしょ?」と、私の家でもコモンセージ茶を切らすことはありません。
でも、実際自分の体にはなんとなーく合わない気も・・・。なんかセージ茶を飲むと、ちょっと気持ち悪くなる気がするんですよね。
薬草も、その人の体質に合うかどうかってことが結構重要ポイントなので、普段から自分の体に新しい物質が入って来たときに、体がどんな反応をするかに敏感に気づくため、出来るだけ必要ない薬はあまり飲まないようにしたほうがいいと思っています。
私の実体験としては、ニューヨークに住んでいた時に、体調が悪いとすぐ風邪薬だのノドヌールだの胃薬だのを服用している私をみたドイツ人の友人から「日本人はそんなにすぐに薬を飲むの?」と聞かれたことがありました。
私としては、社会人として体調を壊すのは自分の責任、とにかく早く治さなきゃって気持ちが強かったんですね。
日本人ってそう思う方は多いのではないでしょうか。
そんなこともあって、自分の免疫力や本来の体の働きを知りたいと、出来るだけ薬を飲まないような生活を1年ほど送っていたら、それらの力が自ずと戻って来たような気がしました。
自分の体の声に耳を傾けるって、薬漬け(!)になっていると、そうすぐに出来るものではないんですよね。
もちろん気管支炎になりやすい私がそれを実行するのは至難の技でしたが、抗生物質を使わずに気管の炎症を抑えてくれるお茶との出会いで、私の人生は変わりました!
さてさて、前置きが長くなってしまいましたが、我が家ではそのドイツ留学に来ることのきっかけとなったそのマイラブ薬草のお茶(セージではない)を切らすことはなく、風邪っぽくなるとすぐにそちらを飲むため、セージは家には常に置いてあるものの、お守り状態になっていました。
セージ茶が何故そんなにドイツ人の心を惹きつけるのか、ということで、今日は少しセージについて調べたことをお話ししたいと思います。
地中海原産のEchter Salbei(コモンセージ)、その語源はラテン語のsalvareで ”癒す”だそう。
中世初期から使われており、“Cur moriatur homo cui Salvia crescit in horto?”「ザルバイが庭に育つなら、何故人は死のうものか」なんていうことわざもある程です。
1日1個のリンゴがお医者さんを遠ざけるより、更にパワフルな感じがしますね。笑
ボルネオール、シネオール、樟脳オイル、リナロール、サルボ、神経毒ツジョンと8%のタンニン(抗生物質ロスマリン酸)、苦味物質(カルノソール)、フラボノイド、カルノシン酸、植物ホルモン、ウルソデオキシコール酸、ステロイドが高い割合で含まれているとのこと。
内服して喉の炎症や痛みを抑えると同時に、お茶をうがい水として使用すると、外部からも喉の痛みを抑えることができるそう。
ローズマリーと並んで、抗菌作用がダントツに強く抗酸化作用もあり。歯磨きペーストとして使い歯垢を防いだり、抜歯後の炎症止めにもよいとも。
寝汗や発熱、月経困難症の緩和や水虫の治療、消化器の働きをよくするなど、その効能は非常に多岐に渡ります。
抗菌作用が抜群のセージをお肉に巻いて食べたりするのは、きっと衛生状態がよくなかった時代の人々の知恵かもしれませんね。
お寿司のワサビやガリみたいな感じかしら。
気をつけなければいけないことは、セージにはツジョンという神経毒(大量摂取すると麻酔作用、嘔吐、幻覚、錯乱、痙攣などを引き起こす)を含まれるため、正しい量を短期間に摂取する必要があるということ。
「薬も過ぎれば毒となる」ってまさにこのことですね。
おそらく、私はこの成分に敏感だったのか、あるいはどれかの成分にアレルギーがあるのかもしれませんね。
薬草の摂取量や期間、植物に含まれる成分についてもっともっと深く知りたいです。
セージには早産を促す作用があるため、妊娠中の摂取は推奨されないとのことですが、同じく喉に効くタイムも、子宮を活発に動かす物質が入っていて妊娠中は禁忌なはず。
残念ながら、コモンセージとタイムの二つの植物の、どの化学物質がそのような反応をもたらすのかは、結構色々調べたのですが未だわかりません・・・。
これは、実際に薬草の専門学校に行けたときの質問としてとっておきましょう。
若干怖いことをお伝えしたので、コモンセージが危険なイメージになってしまったかもしれないのですが、ドイツにはコモンセージの成分が入っているグミやキャンディーも多くお勧めです。お茶よりは気軽に試せる感じかもしれません。
しかし、グミやキャンディーと言ってもあなどることなかれ。日本だと、そう言った商品ってあまり効かなそうなイメージがありますが、これも配合っていうレベルではなくがっつり薬として効く量のセージ成分が入っていてしっかり喉に効きます。
体質もあると思うので試してみないとわからないのが薬草の難しいところなのですが、私はDallmann’sのザルバイキャンディーでは気持ち悪くなったりしたことありません。
日本では、ハーブティーやハーブキャンディーお洒落なイメージがあるかもしれませんが、私は「薬」としてちゃんと説明書を読んで摂取量を守っています。
普段から薬漬けになっていないまっさらな体にとっては特に、薬草はいわゆる「効いてる感じがする」ではなくて、薬として本当に効くんです。
忙しい生活を送る即効性のある医薬品に慣れている日本人にとって、なかなかまっさらな体になること自体がまずは難しいのかもしれませんが・・・。
薬草茶でも、どうやら薬局で購入するブランドの薬草茶は更に強力らしいという記事も目にしました。ブランドで効果に差が出るのは何故かも気になるので、今度気管用のお茶を自身で試してみたいと思っています。
どうしてもお茶ではなく錠剤の形のものがよい時は、ドイツでは薬草成分を”配合している”だけではなく、薬草成分だけで作られた風邪薬や喉のスプレーなども多く売られています。漢方薬の西洋バージョンってなとこでしょうか。
膀胱炎の治療には欠かせない抗生物質ですが、これも抗菌作用が高い薬草(今まで実際に使ってみたのはナスチューム、セイタカアワダチソウ、ハリモクシュク、ネコノヒゲ)の膀胱炎用の錠剤もあり、膀胱炎になりやすい私は時々お世話になっています。
薬草ベースだと、抗生物質を服用することで起きる合併症(カンジダ症など)を未然に防ぐことができます。
なお、コモンセージは通常、庭に植えてあるものなのですが、自然界にもちゃんと野生のセージがあるんですって!!
Wiesensalbei(直訳で「牧草地のセージ」)と呼ばれるもので、私はまだ見つけられたことはないのですが、コモンセージと比べると香りや刺激が随分とマイルドなそうです。
来春、もしWiesensalbeiを見つけられたら、また記事を書きますね!楽しみ〜。
世界には本当にいろいろな植物が存在しているんですよね。心からワクワクします。
<後日談> ライプツィヒで牧草地のセージ、見つけました〜!!急いでいたので写真しかとれませんでしたが、次回見かけたらしっかり観察してみたいと思います。
<参考文献>
“Unsere Heilkräuter” by Dr. Ursula Stumpf