幼い頃、お盆前に買った大中(だいなか)とか祝(いわい)とか呼ばれるという青リンゴが美味しかったなあ、とドイツで様々な種類のりんごをみるにつけ思い出します。
わたしの父の出身、青森県津軽地方では、大中は基本お供え用として使うためか、わざとお盆前に未熟な状態で売られているので、食べるとすっぱくて渋いのが特徴です。塩をつけて食べたりもします。普通の感覚だと、こんな未熟なりんご、食べられたもんじゃないっ!と吐き出したくもなるほどらしいのですが、私は大好きでした。
その幼い頃の記憶を頼りに、大中を探し求めて名前は違えど同じ種類であろうものを食べてきましたが、毎回何か物足りなかった。そして、それは、なんとその大中が売られる時期が違った(津軽では早めに未熟なものが出回っている)からだということを、今日、大中についてドイツで詳しく調べていて知りました!
津軽地方以外の市場では熟したものを出しているので、同じ青森の八戸市でも、もちろん他の都市でも、“フツーのリンゴに化した“大中にしか出会うことが出来なかったわけです。
大中は津軽地方で初めて育てられることとなったりんご二種のうちの一つだそう。それを知って、なんか更に愛着が沸きました。
よく今まで生きながらえてきたなあ。
しかし、予想通りやはり出荷量は年々減っているそうです。涙
紅玉も減ってきているみたいですしね。(ちなみに、紅玉は別名満紅といいます。)
甘い果物が苦手な私にとって、古い種類のリンゴをたくさん売っていて、様々な消費者の声に合わせてそれを作り続けているドイツのシステムはとても合います。おそらく、野外市場とかなら一つのお店で20種類以上用意してるところもあるんじゃないかしら。
そして、また別のお店に行くと、またまた違う種類のりんごが売られています。
日本も、糖分だけに注目した人気のある売れる種類だけじゃなくて、みんなが違った好みのものを選べる市場であってほしいなあと思います。
次回、青森に帰ったら、お盆前に津軽地方に行って大中をリュックに背負って来ようかなと画策中です。そして、津軽地方の話からは離れてしまいますが、酸っぱい小玉の八朔も日本で沢山食べたい!
日本でこうした酸っぱい果物を細々と作り続けてくれている農家を応援したいなと思います。