最近は在宅勤務をされる方が増え、パソコンを使う機会が今まで以上に多くなった方も多いのではないでしょうか。わたしも、コロナが流行してからは以前に輪をかけてパソコンで作業する時間が長くなりました。
日本の母から送ってもらったドライアイ用の目薬も底をつき、そんなこんなしているうちにコロナ流行の影響でなのか関税関係のお役所の対応が変わり、ドイツへの小包にかかる関税を、対象額以下でもひとまず払わなければいけないシステムに変わりました。(余分に支払った関税は、事後申請すれば戻ってくるらしいですが、その事実を知らない人も多いらしいです。)
こうなってくると、やっぱり郷に入れば郷に従えってことなのだろうな、生活用品もあまり日本製品に頼らないようにしなきゃな、と目薬もドイツで調達することにしました。
西洋の薬草のパワーを知ってからというもの、体の調子が悪い時は、基本的に薬草茶や薬草成分でできているタブレットを服用するわたしですが、正直、目薬までは薬草にお世話になるとは思っていませんでした。
しかし、ドイツにはあーるんです!
薬草で作られた目薬が!!素晴らしい!パチパチパチ〜!!!
実は、目に良い薬草にも色々あるようで、以前ご紹介したキクニガナのお茶もアイバス(小さなカップにキクニガナの花のお茶を冷やしたものを入れて、目を洗ったり浸けたりします)として使われます。
アイバスをすることで、過敏になっていたり、ヒリヒリする目の症状を和らげることができるそうです。
しかし、今回調べて買ったのはキクニガナではなく、薬局で売られているVidisan®という目薬。
10ml中に0.5mgのコゴメグサ属(Augentrost アウゲントロスト、学名: Euphrasia officinalis ssp. rostkoviana)という薬草の抽出物が使われています。アウゲントロストの和名は調べても「コゴメグサ属」としか出てこないため、日本には同属はあってもアウゲントロストと全く同じ植物が存在しないのかもしれません。
ちょっとややこしくなってしまうので、今回は、以下一律「アウゲントロスト」と呼ぶことにいたします。
ドイツ語名のアウゲントロストは直訳で「目の快適、目を楽にする」といった意味です。既に植物の名前にどうやってその薬草を使うかが表されているのが面白いですよね〜。
その昔は、植物の外見からその薬草の効能を判断していた時代もあったようで、アウゲントロストのまるでぱっちり見開いた目(まつ毛までついているようにもみえます!)のような花の見かけが、もしかしたら先人達に「目の薬にしよう!」と思わせた理由なのかもしれません。
目用の薬草でほんと間違ってなくてよかったです・・・。
目薬として使えるか、試しにギンピギンピ(前話をご参照ください)の汁を目に入れられたもんなら、と想像しただけでガクブルです。薬草としてその効能を確立するまでの道のりには、そういった失敗話が山ほどあるんでしょうけれど・・・。
ヤグルマギクのように、かつては薬用として使われ、目薬としても使われていたこともあったようですが、時代と共に低く評価され食用ではあるものの薬用としては使われなくなった植物もあります。
薬草の効果が、これまでに比べたら科学的に証明できる今だからこそ、もっと薬草の成分を詳しく調べて、もっと純の薬草に頼ってもいいのになあ、あるいは薬草を使う治療法を選べるドイツのような仕組みが日本にもあったらいいのにな、と思ったりします。
ちなみに、今回は薬局で目薬を購入しましたが、アウゲントロストを抽出したお茶を使ったアイバスでも、乾燥や疲れ目の症状を改善させることができるということです。
アウゲントロストって目への効果以外も使える薬草なのかしら、と思い更に調べてみるとやはり多くの効能がありました!
アウゲントロストに含まれるイリドイドは抗菌効果、フラボノイドには血管内に血栓ができることを防いだり血流を改善させる働き、タンニンは炎症を抑制し、ケイ酸は粘膜と結合組織を強化し、苦味物質は肝臓を強化するとのこと。これらの効能を期待したい場合は、アウゲントロストの花、茎、葉を10分しっかり蒸らして、お茶として服用するといいようです。
わたしがよく思うのは、大抵、一つの薬草が一つの病気だけに効くっていう感じではないということなんですよね。そんな多くの薬草の中でも、先人達はこの植物は特にこの症状に効くってのを身をもって(犠牲者も出して)探し当ててきたわけですよね・・・。
さてさて、Vidisan®に話が戻りますが、この目薬は長期間にわたって定期的に使ってもいいということでわたしは既に1ヶ月ほど使っています。ツンとした刺激などもなくとても使いやすいですし、目も潤いを保てていて、ドライアイにちゃんと効いている気がします。
しかし、今回Vidisan®の内容をよーく調べていると、中にはポビドンと呼ばれる高分子化合物が20mg含まれていて、ポビドン自体がドライアイに効くらしいことがわかりました。むー、薬草の力だけじゃないのかあ、と薬草のパワーに期待していただけにちょっと残念。
ということで、どうしても本当にアウゲントロストだけで効果があるのかが知りたいので、いつか自分で(あるいは誰かの目で←うそです)アウゲントロストのアイバス実験をしてみたいと思っています。
また、調べてみるとVidisan®のアウゲントロスト抽出物をはるかに超える量が入っている製品も見つけました。こちらはスイスの会社のナチュラルプロダクトで有名なWeledaのもので、アレルギーで起こる涙目や赤目、痒みに効くとのこと。
強力なためか、医者に相談してから使い、2日経っても改善がみられないなら病院へ行くようにとの注意書きもあります。
評価もなかなか良いようで、目薬10ml中、アウゲントロストが0.5mgならぬ1000mgも入っているので、本当にアウゲントロストの威力を感じることができそう。
試してみたところ効いているようで二本目突入しました。
これで、少しはドイツでの花粉症の苦しみを和らげることができました。ドイツではセイヨウハシバミ(ハーゼルナッツ)や白樺、リンデンなどのアレルゲンが至る所に街路樹として植えられているので、もし苦しまれている方がいらっしゃったら是非試してみてくださいね。しかし、2日経っても改善がみられないようでしたら、お医者さんにご相談ください。
<参考文献・サイト>
“Unsere Heilkräuter” by Dr. Ursula Stumpf
“Encyclopedia of Herbal Medicine” by Andrew Chevallier