やっと見つけました!!セイヨウヤドリギです〜!!!
ドンドンドンドン〜!!(←喜びのドラムの音です。)
これまでも、本だったり花屋さんで売られているものは見ていたのですが、自然の中で見つけたのは今回が初めてです!!!
感動!
ドイツ語ではセイヨウヤドリギ はMistel(ミステル)と呼ばれます。
半寄生・多年生植物で、様々な落葉樹と針葉樹の枝に根を下ろします。「半寄生植物」と呼ばれるのは、自分自身でも葉緑素をもっているので光合成できるからです。寄生するだけじゃなくて、自分でも成長できて大きく育っていけるなら、自立できそうなものですが、きっとそうもできない理由があるのでしょう。笑
ベタベタした果実の汁で宿主となる木の樹皮に張り付くと(実を食べた鳥がクチバシを枝に擦り付ける際に張りつくらしいです)そこで発芽し、根を下ろし寄生が始まります。
セイヨウヤドリギは、ゲルマン民族にとって神聖な植物で、特に樫の木に生えるヤドリギは神聖視され、病気や悪魔を追い払い、豊穣を約束する植物と見なされてきました。全てが灰色で味気ない冬の木々に、鮮やかな緑色の葉をたくさんつけ丸〜く大きくなっていくセイヨウヤドリギは、まるでそこだけ春が来ているように見えるのだそう。私はまだ冬の間セイヨウヤドリギが育っている木に気付いたことがなかったので、是非来年の冬は気をつけてみてみようと思っています。
そして、もう一つ面白い事実!
ヤドリギは毎年一節ずつ成長するため、枝の数から大体の植物の歳がわかるんだそうです。
なんと、70歳まで育つこともあるとのこと!!
だとすると、球が大きくなればなるほどそのヤドリギは高齢だということになりますね!!
セイヨウヤドリギの薬草としての効能もちゃんとあります。
果実は有毒ですが、葉は薬草として有効です。
以下の三つが主な使われ方です。
- <高血圧(軽度)の治療>
頭の血圧と、それによる頭痛、めまい、イライラや神経性の心臓の不調を和らげる効果があります。
セイヨウヤドリギを血圧の治療薬として家庭で準備する場合には、小さじ1杯のヤドリギの葉に250mlの冷水を注ぎ8~10時間、できれば一晩放置し必要に応じて濾す。それを飲める温度に温め、朝晩半分ずつ飲む。
それを4~6週間続けるといいとのことです。 - <関節の炎症性疾患(関節症)の治療>
これは注射での治療になります。
ヤドリギの成分は皮膚や組織を刺激し、患部の関節の血行と可動性を促進するのだそう。 - <腫瘍の治療>(おそらくセイヨウヤドリギ が最も知られている使われ方)
癌の成長を抑制し、体内の免疫力を強化し、化学療法や放射線療法によるダメージから健康な細胞を保護する。
全体として病気の経過に良い影響を与え、生活の質を向上させ、再発を防ぐとされています。
上のような使い方は紹介はされていますが、セイヨウヤドリギの癌への効果は被験者が非常に少ないため、その信憑性は不明なままとされているようです。
セイヨウヤドリギのように、まだその効能が治験が進まないため知られていない薬草がたくさんあるのだと思います。化学的な医療薬以外にも、この分野が研究されてさまざまな人に合う医学療法を発展させていただきたいです。
さて、ここでヤドリギトリビア!
こういうの、ほんとテンションあがります。昔から雑学・トリビア大好きなんですよね〜。
セイヨウヤドリギの学名はViscum albumというのですが、このViscumとはなんとトリモチのことだそうなんです。トリモチというのは、鳥類を捕獲するために使われていた粘着状のもので、昔は仕掛けとして使われていました。
これは、セイヨウヤドリギの果実(正しくはしょう果と呼ばれるそうです)がその名の通り本当に糸を引くほどの粘着質であるから。
ドイツでは昔、本当にセイヨウヤドリギの実に蜂蜜や梨やプラムの果汁に混ぜてトリモチを作ったようです!
ちなみにalbumはラテン語で白との意味らしいので、これまたセイヨウヤドリギ の白い果実をちゃんと表していますよね。
このセイヨウヤドリギの果実は、まるでミルクガラスのように綺麗で魅力的ではあるのですが、有毒なのでもちろん私たちは食べられません。
しかし、それを食べられる鳥も存在するとのこと。
その名前もなんと植物名が鳥の名前にも入っていてなんです。直訳で、勝手にセイヨウヤドリギツグミとでも呼びましょうか。(もし正式名をご存知の方がいらっしゃいましたら、お知らせください〜!)
かつてこの鳥の名前に「ヤドリギ」って名前を入れちゃえ、と人に思わせたほど、この鳥はセイヨウヤドリギの果実を食べているんでしょうね。
Misteldrosselは、セイヨウヤドリギの果実も食べ、そのクチバシを他の木の上で擦り付けて綺麗にすることで、セイヨウヤドリギの寄生に大いに貢献しているようです。
これまで地球には多くの植物と動物の関係性があったのでしょうが、それが次第に自然淘汰され、有毒な植物も食べられる鳥が生き延び、植物の生存を助けている今の関係(おそらくMistelもまた進化したのでしょう)が確立されていると考えると本当に興味深いですねぇ。
<注意>ブログで紹介されている効用につきましては、あくまで参考としてご覧ください。また、薬草の使用は自己責任とし、使用によって万が一何らかの被害が生じた場合も当方は一切の責任を負いません。
<参考文献・サイト>
“Unsere Heilkräuter” by Dr. Ursula Stumpf