ベルリンもすっかり暖かくなってきて、外では様々な植物が花を咲かせています。うす紫、白、濃い紫のライラックが満開で、散歩をしていてもとてもいい香りが漂っています。
昨年に続き、今年もホップの若芽を摘みに行きましたが、今回はこれまでずっと気になっていたイワミツバ(Giersch)とドイツ版行者ニンニク(熊ネギ/Bärlauch)とニンニクマスタード(Knoblauchrauke)も収穫できました。
イワミツバはドイツ語でGiersch(ギルシ)といい、そのすさまじい生命力、繁殖力からガーデニングをする人たちからは嫌われ者らしいのですが、食べてみると本当に美味しいんです。実は、ドイツに来た頃からそこら辺に生えているイワミツバを摘んでみては、「これって匂いからして食べられそうだよな〜。」と思い続けてきたのですが、それが調べてみてやはり食べられると分かってとても嬉しかった!こういう「やっぱりそうだよね!」と予想が当たる瞬間が何とも楽しいのです。
私が生まれた北東北では、シドケと呼ばれる山菜があるのですが、イワミツバとは見かけこそ全く違えど、味がとても似てるんですよね。イワミツバもシドケと同じ様に辛子醤油で食べてみたらこれまた美味でした〜。
調べてみると、シドケはキク科で正式にはモミジガサと呼ばれている様で、実はセリ科のイワミツバとはあまり近い関係ではないのだそう。海外に住んでからシドケを食べる機会が全くなくなってはっきり思い出せないのですが、確かにどちらかというとミツバというよりはフキの味に近かったかも。日本に一時帰国したら、是非またシドケを食べたいものです。
さて、イワミツバに話は戻りますが、ベルリンでもほんとそこら中に生えていて、美味しいだけではなく、その栄養価も高いんです。多くのビタミンC、カロテノイド、鉄分、マンガンなどの貴重なミネラルを豊富に含んでいて、体内の酸の沈着物を溶解し、排除する際の新陳代謝を助ける働きをするそうです。
また、薬草としては、イワミツバは利用作用があるのでお茶として飲む他、イワミツバの根を煮出して足の疲れや痛みを和らげるフットバスとしても使えます。
<フットバスの場合>
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- 2リットルの水に100gのイワミツバの根を入れ沸騰させる
- それを15分浸した後に取り出す。
- そこに必要なお湯を足して足を浸す。
イワミツバの学名はギリシャのaigos(ヤギの意)、podos(足)に由来し、葉の形がまるでヤギの足跡のような形です。かつては通風の治療に使われていました。
ちなみにpodagraは「痛風」の古い名前で、Podagrariaは「痛風の治療法」という意味です。治療に使えるように僧侶たちは修道院の庭にイワミツバをよく植えていたようです。
しかし、栄養価が高く美味しい!と言えば、ドイツ版行者ニンニク熊ネギも負けちゃいません。いやー、本当に熊ネギのうまみは素晴らしい。
これまで、スーパーのフランスやハンガリー産のものは食べたことがありましたが、今回はベルリンの森でやっと自然のものを収穫できました。買ったものは辛みが強く少し使いにくかったのですが、自然のものは辛さが控えめで、それでいて風味はたっぷり、それはとても美味しいものでした〜。今回は、きのことの炒め物と醤油漬けにしました。
(イヌサフランとスズランとの見分けもしっかり確認することができましたよ〜。ここ、しっかりしないと危ないですからね。)
ニンニクとマスタードどちらもの風味を持つとされるKnoblauchraukeやPosteleinの効能と使い方については、またの機会にご紹介します。
<参考文献・サイト>
“Unsere Heilkräuter” by Dr. Ursula Stumpf
https://www.kostbarenatur.net/
http://www.kostbare.net