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<特別編>ミルク病 〜マルバフジバカマ(white snakeroot)の毒〜

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実は、大切な友人の体調が良くないので急遽短期でアメリカペンシルベニア州へ行きました。

その足でさっとニューヨークにも寄ってきたのですが、ルーズベルト島の草むらでこんな植物を見つけました。

なんという植物か、おわかりの方はいらっしゃいますか?

北米産ですが日本にも存在するようなので、ご存じの方もいらっしゃるかも・・・。

 

これ、名前をマルバフジバカマ、英名をwhite snakeroot(白い蛇の根)といいます。

実は、この植物を見た時「あれ、この植物以前本かインターネットで見たことがある気がする!!」とすかさず写真を撮ったのですが、自分でいうのも何ですがすごい!合っていました!!(どや)

そう、ミルク病の原因となるあの植物だったんです!

よく覚えていたなぁ、初めて見た!と色々な感情でこの事実を家で調べて正解だった時、無性に嬉しくなるんですよねぇ。あの場で出来たら摘んで植物全体の匂いを嗅げたら更に良かったのなぁ。残念。でも、毒草は、よく考えずに触ったりすると、かぶれたりミミズ腫れ、意外な部分に潜んでいる棘に刺されたりなど色々あるのでやめておきました。

ミルク病とは、東海岸から中西部へ人々が移動した1800年代に中西部で発生した病気で、その原因が分かるまでの何十年もの間に何千人もの入植者が命を落としました。その中には、かの有名なアブラハム・リンカーンの母親もおり、彼女もこの病の犠牲となり34歳でこの世を去ったと言われています。ミルク病は、症状が出てから数日以内には嘔吐で寝たきりになり、昏睡状態になり死亡する可能性もある病気でした。その死亡率もかなり高かったと言われています。この病気が何故か雨が降らない春の後の夏に発生することはわかっていましたが、それまで入植者が知り得た医学の情報にはそのような病気は存在せず、ただただ彼らを怯えさせるだけでした。

ミルク病は19世紀初頭には東海岸では見られなかったようなのですが(マルバフジバカマ自体が東海岸にはなかったのかもしれないのですがそれは考えにくい気も・・・)今回わたしはこの植物をニューヨーク市内で見つけてしまったので、この種も昔中西部からやってきたのかもしれませんね。それとも、東海岸では放牧する産業は既に盛んではなかったか・・・。

この植物の危険性は、ショーニー族の女性が元から知っていた知識を、現地に調査に入った白人女性医師がたまたま聞き出すことに成功したとのこと。その地域の植物の知識というものは常に現地の人々がよく知っていて、それが伝承されるという事実を再認識させられます。もとい、これからは温暖化で植物の分布も変わってくると思いますので、これまでその土地では育つことができなかった植物がその一帯を凌駕するということも出てくるかと思います。去年北東北に帰省した際、今まではみたこともないほどのツタが市内中で大発生しているということを聞き、それもまた温暖化でツタが住みやすい環境になったのだろうか、と今、ふと思いました。幼い頃には、庭ではみたことがなかったマリアアザミや野生ニンジン(和名がしっかりわからないので、今のところドイツ語Wild Möhreの直訳で野生ニンジンとしました)も増えていてびっくりしました。もしかしたら、除草剤の濫用で植物界のバランスが崩れたことも考えられますが・・・。

マルバフジバカマ
マルバフジバカマ 花拡大写真

 

ドイツ語ではなんと呼ばれているのだろうと調べてみましたが、そもそもドイツに生えていないので名前もなかなか探し出せないという・・・。今回は、思いがけずかの悪名高いこの植物を、原産地の北アメリカで間近で見ることができて嬉しかったです。

<参考文献及びウェブサイト>

Magazine, Smithsonia; McCarthy, Will. “How an 1800s Midwife Solved a Poisonous Mystery.” Smithsonian Magazine. Retrieved July 14, 2023. https://www.smithsonianmag.com/innovation/how-1800s-midwife-solved-poisionous-mystery-180982343/

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